独学にどう向き合うべきか〜「独学術」から学ぶ

独学を制する為に

 慶通では基本は自学自習となる。但し大学の学問は高校までの学習、あるいは資格試験の学習とは違い「学ぶ」ということが必要だ。その「学び」を会得するためにはどうすればよいのか。今日はその疑問を解決す1冊を紹介したい。

 

今日の1冊 独学術

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独学術 (ディスカヴァー携書) [ 白取 春彦 ]
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 この本はどんな本か

 この本は著者である白取氏自身の経験も踏まえた学び方が5つの章に分かれて綴られている。

  1章「勉学は独学に限る」では学習と独学は別物とはっきりと主張し、学びが独学、つまり自分の頭で思考したものでなければならないとしている。

 このあと様々な視点で白取氏による学びに関するアドバイスがまとめられているが、特に筆者が印象に残った部分、役に立つと感じた部分にフォーカスして整理したい。

  

1章 勉学は独学に限るより学ぶ学問の学び方とは

 勉学は独学でしか身につかない

 1章の冒頭で白取氏は次のように主張している。

学習は年端いかない子供がするもの、何も知らない者がとりかかる最初の数歩ことだ。そこをすでに越えている大人がするものが独学である。つまりLEARN(ラーン)ではなく、STUDY(スタディ)だということだ。(本書 P13より)

 著者はある程度物事がわかる大人は自らの頭で学びことが大事であると読み解いている。

 次のページでは自分で学ばなければ(つまり自分の頭で考えることをする)身につかないことを説明している。これは読者の方もよくわかるのではないだろうか。

 例えば同じ授業を受けてもテストで高い点数を取る人もいれば全然点数が取れない人もいる。つまりは自分の頭で考えているかどうかがこの差を生んでいるということになるのだ。

勉学のゴールはどこにあるのか

 さて勉学のゴールとはどこにあるだろうか。著者はオリジナルな見立てを考えることがゴールであると述べている。

事典的な事項を覚えるだけでそれ以上に何も発展も内容もないような単純作業は本当の勉強ではない。それはもうパソコンなどの機器が代替できるものだ。

(中略)人間の頭は独自に新しく考え、これまでになかった見解や推論を生み出すことができるからだ。独学の最終目的はそこにある。(本書 P21-22)

 つまり知識を単に覚えてアウトプットすることはパソコンでもできる。だからこそ人間は学ぶことで自分オリジナルの見立てをできるように思考訓練をしなさいということだ。

 これは大学での学びを的確に的を得ているのではないだろうか。

 直近の例でいえば、与えられた課題(レポート課題)をテキストなり参考文献なりを読んで自分の言葉でまとめていくという作業には、人間の学びを会得するための大事なプロセスであるといえるであろう。

 以前東大に進学した先輩からこんなことを言われた。

「レポートや論文とは自分なりの見立てをすることで新たなものを創造することだ。」

 こういう点からしてもきちんと自分の頭で考えることの大事さがよくわかるのではないだろうか。

技術より熱中

 最近は巷で様々な学習法が謳われる。「勉強は朝にした方がよい」とか「科目によって学習する時間帯を変えるべし」などと様々な方法が出回っている。

 著者はそのような学習法に喝を入れている。

 本当に独学している人はどうしているのか。睡眠時間を削って読書のための時間を捻出するとか、書斎をどうするとかにまったく頓着することなく、ただひたすら本を読み、考え、知の世界を広げているだけである。

 つまり、本を読む時間をどうするかなどといったことを考えずにすでに本を読み、あたりかまわずどういう場所でも自分の書斎としているのである。(本書 P42-43より)

 確かに効率をあげるために自分にあった学習法を模索するのも大事だけれど、それ以上に学問の世界、本の世界に熱中できるかどうかの方がよっぽど大事であると主張している。

 熱中する、つまり好きなものに没頭することが学問を修める上で大事な条件であるといえるであろう。

 補足であるが没頭するためには常に疑問をもち、その疑問を解決しようとする知的探求心が最も必要ではないかと思う。簡単には答えが見つからない、だからこそ学問が面白くなっていくのではないかと筆者は感じる。

 

 この後の章では難解な本の読み方や外国語の習得の仕方などの学びに対するアドバイスが載せられている。今回は紹介しないが紹介する機会があれば載せたいと思う。

 

 慶通に入学されてどのように学べばよいのかわからない方や入学してからしばらく模索されているかたがいらっしゃれば、本書を手に取って読んでみることをお勧めする。■